オムニチャネルの基本はモノ売りからの脱却

鳴り物入りでOmni7が登場してから1年以上が経過しましたが、期待通りに浸透しているとは言い難い状況です。米国ではどんどん成功事例が生まれているにも関わらず、日本ではなかなか定着しないオムニチャネル。Kyotoビジネスデザインラボ、オープニングブログとしては、その原因について考察してみたいと思います。

そもそもオムニチャネルとは、「どのようなメディアや経路であっても同等の購買体験ができるようにすること」と定義されています。この表面的な点、すなわち店舗で商品が受け取れるようにするというようなことだけを実現しようとして、失敗しているのが日本のオムニチャネルです。その裏にある本当の意味をとらえきれていないのではないでしょうか。

オムニチャネルの先駆けであるMacy'sは真の顧客セントリックを突き詰めた結果、オムニチャネルという手段に行き着いたといっています。日本の場合は手段が先行し、ハートが追い付いていないのです。日本のシステム導入によくみられる「手段の目的化」が、オムニチャネルでもおきているということです。

オムニチャネルの実現には、いくつものシステムの連携が必要であり、どうしてもそこに注意が向かってしまうのかもしれませんが、技術的な課題はいかようにでも解決できるものです。Macy'sも苦労した点ですが、オムニチャネルの一番の難しさは、風土改革にあります。ネット事業と店舗事業とが対立している状態ではオムニチャネルは100%失敗します。お客様が最高の購買体験をして頂くにはどうすれば良いかを真剣に考えると、チャネルによる事業区分は提供側の都合でしかないことに気づくはずです。

オムニチャネルは、従業員全員が気づきを得るとこからスタートしないといけないのですが、そこをリードできるSIerもコンサルタントもいないのが実情です。ECのベンダーはリアル店舗のことを知りません。逆に小売り向けのSIerはECが得意ではありません。それぞれ全く異なるカルチャーでシステム開発が進められてきたものを統合、連携させる必要があるのですが、それをリードできる力はユーザー側のシステム部門にもありません。

 

このように日本の現状はオムニチャネルの実現に向けて、非常に厳しい状況にあります。

次回以降、この解決策について検討を進めていきます。