「コト売り」に切り替える一番大事なポイントは「売る」ということを忘れることです。
BSCで戦略をデザインする時にも必ずいうことですが、お客様が自社を選ぶ必然的な理由ができると、数字は結果としてついて来るものです。直接追いかけると短期的にはうまくいってかのように見えても、深いダメージを追うことになります。
いかに売るかに捕われていると、押し付けからの脱却はできません。売らんかなの思惑が少しでも見えると、人は逃げていきます。
いやいやお客様のことを考えて情報提供していますよ、売りを前面に出してはいませんと主張される企業やお店はたくさんありますが、実は全然できていません。勘違いをしていて気付けないのです。
解りやすい例をあげてみましょう。
パソコンのディスプレイを買おうとして、店頭でカタログを集めたり、ネットで情報を集めると思います。その時、公式情報では解像度以外に輝度や応答速度などの製品仕様が提供されています。この情報、誰が見ることを目的に提供しているのでしょうか。一般のPCユーザが解像度以外のデータで何を判断できるのでしょうか。本当の専門家であれば、見え方の違いが解るのかもしれませんが、一般には何も判断できません。ユーザは仕方なく、価格.comなどの口コミから自分のニーズに合うかどうかの判断をするわけです。
顧客の立場に立てば簡単に分かることですが、何故かそれができません。自分がユーザだったらどう思うかという視点の切り替えができないのです。
自宅いると顧客視点になっているのですが、会社に来ると顧客視点になっているつもりがそうはならないのです。
まず第一に必要なことは「顧客側の視点」で発想するということができていないことを認識することです。
デザイン思考で最初に注意されることですが、SympathyではなくEmpathyでなくてはいけません。
この違いがわからないがために、結局は売り手発想になってしまっているのです。
ではどうすれば良いのでしょうか?
その答えがサービスデザインです。
次回から、このサービスデザインについて、お話を進めていきます。