私がサービスデザインの取り組みを始めた当初の目的は、以前にも記しましたように、KOMTRAXのような素晴らしいサービスをいかにすればデザインできるか、その方法論を確立したいということからです。
KOMTRAXの真の価値というものは、「KOMTRAX:コマツ建機の美しいビジネスモデル」というタイトルで
実は2012年に下記の記事に非常にうまくまとめられています
http://www.countand1.com/2012/10/komtrax-komatsu-business-model.html
IoTの講義や講演をする際に、必ず最初にこの記事をご紹介するのですが、サービスデザインのことを学んでから、この記事を読んでみると、改めて要点整理のうまさに感心します。
その第一のポイントが顧客のメリットから書き始めていること、そして、その内容が実に顧客視点になっていることです。ベンダー視点では決して見えない、書けないことがいくつも出てきます。真に「共感」ができていると評価できます。
世の中で多くのカスタマージャーニーマップの講座が開かれるようになってきました。これは素晴らしいことですが、顧客に共感できないまま、カスタマージャーニーマップでタッチポイントの分析をしても、所詮は供給サイドの発想しか出てきません。特にマーケ系での使い方は、いかに引き込んでやろうかという意図を強く感じ、非常に危惧しています。
少し話が横道にそれましたが、大事なことは徹底して顧客になりきるということです。ペルソナの設定がそのとりかかりになるのですが、会議室で議論していては、適切なペルソナは設定できません。(自分に顧客としての体験がある場合は別ですが)
ようわからんと思ったら、現場に出かけることです。「THIS IS SERVICE DESIGN THINKING. Basics」には、多くのサービスデザインのツールが紹介されています(なぜなぜ5回も含まれています)が、行動観察も共感のための重要なツールとして描かれています。
カスタマージャーニーマップのAs-Isの分析ではコールセンターや営業さんなど顧客接点を持つ方にも参加して頂きます。そして彼/彼女たちは、お客様から受けたクレームや相談、お褒めの言葉をカードにリストアップしてくれます。多くの人はこれで「共感」できていると勘違いしてしまいます。それではまだ、Sympathizeでしかありません。Empathizeにはなっていません。
そのVoCの背景を深堀し、自分として腑に落ち、自分も同じ不満や感謝をいえるようになって初めてEmpathizeしているということができます。
これができていないと、後のプロセスが出てくるサービスは押しつけでしかなくなってしまいます。
次週は、To-Beの段階で共感を崩す怖ーい脅威についてご紹介します。