サービスデザインの障壁 ~誤った顧客志向と過去の成功体験

前回の記事で、「顧客の共感」が最大の鍵ですということはお伝えしました。

が、ステークホルダー全員が「共感」状態になれないのが現実です。

 

プロジェクトメンバーが陥りやすいのが、誤った顧客志向です。お客様のリクエストに応えること=顧客志向と勘違いしている人々が多いです。営業、エンジニア、デザイナ、商品開発、マネージャ、役員、職種に関わりません。

 

お客様のリクエストに応えることは一見よさそうですが、

  • 何を価値提案して良いかわからなくなって、価値提案=顧客満足を提供することと問題をすりかえている。
  • 収益性を考慮していない

という大きな問題点を含んでいます。

前回も記述しましたが、顧客のリクエストの背景や根底にあるものを理解していないと、提供するサービスや製品は顧客に「なるほど」という感動を与えることはできません。下手をすると、この会社は言われたことしかしないというレッテルを貼られ、パートナーではなく下請け的な位置づけをされてしまいます。

 

この問題は根深く、プロジェクトメンバーだけが理解するだけでは不十分です。上程した際に理解できていない経営陣にひっくり返されることになりません。

この2つ目の壁の要因がベテランや経営陣の「過去の成功体験」です。過去の製品やサービスはが成功した時と社会環境が大きく異なっています。その時は成功したプロダクトアウト的発想が現在では全くといっていいほど通用しません。

でも人々はそれを認めたくないのです。

 

このようにサービスデザインを成功させようとするには、組織風土の変更が必要です。組織風土変革の必要性は、BPM、EAでも同様に成功のカギとされており、BSCでも組織資本として投資対象として認識されています。

 

10月にアムステルダムで開催されたサービスデザインの国際会議SDGC2016においても、サービスデザインを組織全体に浸透させるにはどうすれば良いかということが主テーマとして取り上げられていたことを最後に記しておきます。