メーカーのオムニチャネル その1

オムニチャネル適用の難易度は下記の順に難しくなっていきます。

 

  1. 直営店チェーン
  2. 日本の百貨店
  3. 直販を有するメーカー

何度か紹介しているMacy'sは基本全商品を自ら仕入れていますので、1.に相当しますが、日本の百貨店はフロア貸しが主ですので、在庫・商品コントロールができません。日本の百貨店でオムニチャネルが進まない理由はそこにあります。

大手スーパーチェーンなどは実行てきる環境があるはずなのですが、「快適な購買体験」=安さと品ぞろえと考えているため、オムニチャネルを導入することができないのです。

実際は先日紹介したインテルのビデオで指摘されていた様に、パーソナライゼーション能力を失ってしまっており、そこが「Friction Points」になっているのですが、気付けていないわけです。過去の成功体験に引きずられることの怖さがあります。

 

さて、今回は、これまで言及してこなかった3のケースについて考えていきたいと思います。直販ルート(ネット、リアル)を持つメーカーは多く、卸ルートと扱う商品を分けている場合はまだ良いのですが、重なっている場合は、流通さんとの競合がおきます。

一般にメーカーは消費者の情報が分からないと言われています。メーカーが直接取引しているのは、卸・商社、大型量販店であり、どのようなお客様が買っているのか、お客様が商品に対してどのような反応をしているかなどの情報を販売先は提供してくれず、そのためメーカーは知ることができません。

このためPOS情報を購入したり、アンテナショップを設けるなどして、何とか最終消費者のマーケティング情報を入手しようとしているわけです。

 

ところが、これはミレニアムの特徴だそうですが、メーカーと直接関係を持ちたいと考える消費者がでてきています。特に商品選択にあたって、専門的なサポートが必要な商品ではその傾向が強く、メーカー側もきちんと商品説明をしたいために、直接に消費者に販売したいと考えるようになり、直販ルートを持つメーカーが増えてきました。

 

その結果、同じ商品が卸ルートと直販ルートと両方で流れ、メーカー社内でも別々の事業部門が管轄しています。

 

この状況下で直販部門はお客様の利便性を高めるためにオムニチャネルにチャレンジしたいのですが、目立ちすぎると流通ルートと大きな摩擦を生むことになってしまうため、しっかりとした取り組みができず、中途半端なオムニチャネルがかえって顧客におおきなPoorな体験をさせてしまうことになります。

 

このジレンマに悩んでいるメーカーは多いのですが、きちんとしたサポートのできるベンダーは残念ながらないと考えて良いでしょう。

 

では、どうすれば良いのでしょうか。

メーカーは本来の立ち位置を再度思い出すことです。直販ルートが伸びるとはいえ、メインストリームにはならいないわけですから、直販ルートは、それを持つことによって得られた知見を流通ルートに還元することが目的であるということを再確認し、卸・商社、大型量販店がベンチマークできるような環境を提供することが求められているのではないでしょうか。

自分の店舗からの情報しか集まらい流通と、全国のデータが集まってくるメーカ。圧倒的な情報量の差がそこには存在しており、オムニチャネルを通じて得られた知見がそこに加われば、メーカーと流通の関係はかわるのではないでしょうか?

 

この具体的な内容は、次回に記載します。これもデジタルトランスフォーメションの一部になります。