IoTによる顧客価値創造をするには

前回日本製造業の多くが取り組んでいるIoTは、Industry 4.0と呼ばれるもので、これまでの改善のアプローチの延長線上でしなかいという指摘をしました。

一方、Industry4.0のトップランナーであるBoschは、2つのIoTをよく理解し、新たなビジネスリーダーの地位を築きつつあります。

 

既に述べましたように、特に製造業は、IoTのユーザでもありサービス提供者でもあるべきです。デジタルマニュファクチャリングなどという呼び方で、今は日本の製造業の多くは、製造ラインの生産機械をConnectedな状況にし、稼働時間、モータのトルク、駆動回数、電流、温度など様々なデータを取得し、「品質の更なる向上」と「生産性の向上」を図ろうとしています。このこと自体は、FAの時代からやってきたことですし、日本だけは普及していないMESというアプリケーションでもある程度実現できていたことです。

繰り返しますが、日本で今実施しているIoTは新しいことではなく、接続は面倒でしたが、世界ではある程度実現できていたことです。CPSにしても、Virtual Factoryというコンセプトで、5年前にはソリューションが出ていました。

では何が変ったのか、M2Mの技術標準が確立し、様々な機器、生産機械が接続しやすくなったので、一般化してきたということです。

 

さて、Boschは Industry 4.0に対して、「Dual strategy for connected strategy」として、Leading User, Leading Provider という戦略を提示しています。Leading Userとして積んだ経験をSolutionとして仕立てて他の製造業にサービスとして展開しています。彼らはこのソリューションを「 A machine and product-independent MES solution」としても位置付けており、MESユーザとしての深い経験がその基礎にあることを示しています。

 

日本の製造業はではなぜ、同様のアプローチがとれないのでしょうか?

生産機械のメーカであれば、自社内の工場でCPSを実現したのであれば、自社の生産機械のユーザーに対しても、同様の提案ができるのではないかと思いますが、どうもそのような発想にはならないようです。

 

その理由について、次回、日本での数少ない先行事例であるコマツのアプローチと生産機械メーカのアプローチを比較することによって、明らかにしていきたいと思います。