BSCによるIT投資マネジメントの要 情報資本ポートフォリオその1

情報資本ポートフォリオをご紹介する前に、IT投資マネジメント成熟度モデルというものをご紹介します。

IT投資マネジメントにおいて最もハードルが高いのは、個々のIT投資の評価ではなく、「全体最適=戦略との整合性を図ること」です。

そのため、IT投資マネジメントがどの程度うまくできているかどうかを判断するための物差しとしてIT投資マネジメント成熟度モデルというものがGAOから提示されています。

出典:GAO, "INFORMATION TECHNOLOGY INVESTMENT MANAGEMENT  A Framework for Assessing and Improving Process Maturity", March 2004 を宗平訳

IT投資の起案が上がる際に、個々についてその可否を判断しているというのがステージ2で、多くの企業がその段階にあるといえます。

成熟度モデルの基本として、まず目指すべきターゲットはステージ3になります。この内容をみると、事前評価、中間評価、事後評価というマネジメントプロセスだけでなく、IT投資ポートフォリオをベースとして全体最適を常に図ろうとしていることがわかります。

事前評価、中間評価、事後評価のプロセスを持つ企業は多いと思われますが、その判断がプロジェクト単位ではなく、全体最適、すなわちエンタープライズアーキテクチャと照らしあわせて行われている企業は非常に少ない様に思われます。

全体最適の視点を有するかどうかによって各評価における評価基準は大きく変わります。実は、ここに多くの企業が部分最適に陥っている理由があるのではないかと思っています。

ITポートフォリオの記載方法にはいくつか種類がありますが、戦略との連携を明確にするために、BSCの情報資本ポートフォリオを以下に紹介します。

出典:戦略マップ」

 ロバート S・キャプラン、デビット P・ノートン著、櫻井通晴・伊藤和憲・長谷川惠一監訳(ランダムハウス講談社,2005年)

 

詳細は次号にて